「私たちが不安に思うこと」

不安な点は大きく6つあります。

1つずつお伝えしますね。


1.全体の43.5%は開発不可の土地。

  そこに427世帯の巨大マンションを
  建てようとすると・・・


2.安全有事が起きたときの
   避難所の受け入れ人数すでに
   限界を超えている
 

3.保育園・学校問題

      コミュニティー問題


4.交差点での風害の心配
  
   
5.駐車場―マンション内
    駐車場数設置率80%


6.多摩境通りは、景観形成誘導地区
  “多摩境通りは長大な壁面”にならないように
   配慮すべき地区ではないの?



     

1. 全体の43.5%は開発不可の土地。そこに427世帯の巨大マンションを建てようとすると・・・



この計画地は、全敷地面積21,850㎡に対して、
保全民有緑地9519㎡(全面積の43.5%)を抱えています。
保全民有緑地とは保全することが定められていて
建築物を建てることが出来ない土地のこと。
つまり、計画地の43.5%は開発など一切手をつけてはいけない特殊環境なのです。








建築物の大きさの基準となる容積率・建蔽率の計算には保全民有緑地の部分も含有されるため自ずと建築可能な面積は大きくなります。でも緑地には建てられない。

よって、全敷地面積の約30%の土地に、二道路に面して交差点に沿ってめいっぱいのところで建てようとしています。


しかも一建物(分節されない)で建てられようとしており、交差点の見通しの悪さ・圧迫感が懸念されます。そして、その1棟あたりの規模が市内3番目であることも不安視しています。



2. 安全面からの懸念
~避難所の受け入れ人数、もうすでに限界を超えている~


ないことを願いたいけれど、
首都圏で大地震が起きる可能性は高い。
もし地震が起きたときをシミュレーションしたら…。

このエリアの避難所は小山ヶ丘小学校。
受け入れ人数は約630名で必要数に対して
すでに大幅不足の状態。

電気・ガス・水道(ライフライン)のいずれかが止まった際、この街に住む持病がある方、ハンディキャップがある方、介護が必要な方、妊産婦、高齢者、乳幼児のいるご家庭が不安になることのないように過ごせなければ困ります。

私たちの街は、本当に427世帯の人たちを受け入れることは可能なのでしょうか?



3. 保育園・学校問題・コミュニティー問題

小山ヶ丘・相原地区の保育園がますます不足すると
予想されます。すでに現在でも、
子育て世代の多くの共働き世帯や保育関係者が
不足を実感しているなかでの子育て世代を
ターゲットにしている案件なのです。

また、学区内の町田市立小山ヶ丘小学校・堺中学校は、
2004年頃からの地域の大型マンション・戸建て住宅の
建設ラッシュによって、児童数・生徒数が急増、
2008年に小山ヶ丘小学校は全校生1000名を超える
マンモス校になり、プレハブ教室での授業を
余儀なくされました。














当時の在校生だった子どもたちは、
ボールを使える曜日・時間帯が学年毎に決められた
不自由な生活を今でも話題にします。

今回のマンションの購入者ターゲットは、若い子育て世代。市の担当者や学校は受け入れ可能というけれど、何をもって足りているというのか。10年前の再来が危惧されます。



~自治会の巨大化、キャパオーバーの懸念~

また住民過多による自治会の巨大化、
キャパオーバーが深刻です。
生活の基盤である“地域”をまとめ管轄する組織として
〔自治会〕(=町内会)があります。
昨今は加入率の減少が言われていますが、
街の安心安全、そこに住む人たちを繋ぐには
なくてはならない存在です。

近年、大規模マンションで独自の自治体を
運営するところも増えていますが、
既存町内会とともに地域で共存しないで
単体な団体になると、有事の場合などに
問題化することを懸念します。





4. 交差点での風害の心配

風は建物の端で最大1.5倍の風力になります。
すでにマンションのビル風などで
体感されている方はこの街には大勢いらっしゃると思います。


計画地のマンションは交差点に沿う形で
東西に149m、南北に131m、二面に面したビルが
立ちはだかることになります。
影響はないといえるでしょうか?


計画地周辺は大変風が強い場所で、
普段からもひやっとすることが多々あります。

2018年10月1日未明の台風では、
小山ヶ丘小西交差点の車両用信号機の表示灯が
ズレてしまうということがありました。

またマンション計画地の看板も根元ごど抜け倒れ、
また背後の林の多数の枝は折れてしまいました。





















この風についてはマンション計画地周辺では非常に切実な問題で、5月から9月にかけて行った協議の場でも事業者に何度も何度も、この丘の上の土地にふさわしい調査方法で建設後の風のシミュレーション結果を共有していただきたいことをお願いしました。


しかし、調査基準となる数値は谷あいの局のものを使用されたり、こちらがお願いした調査方法で一度は「やります」と言ったものの、結果的に納得のいく調査方法、調査結果をいただくことができず、不安が増大している現状です。

周辺住民の通学中の小学生、大きなキャンパスや作品を持って歩く多摩美大生にも影響を及ぼす可能性があると思います。



5. 駐車場―マンション内駐車場数設置率80%

事業者は「最近は車所有する方が減っているので、80%で」と言いますが、小山ヶ丘地区にある近隣マンションを調査した結果、駐車場稼働率100%、しかも世帯数と同じ数の駐車場が100%埋まっていました。

計画地のマンションのメインターゲットは子育て世代。
町田市の中心部からだいぶ離れているこの土地は、
赤ちゃんの健診等が実施される健康福祉会館や
市民センターまでは車が必須です。

また、駅・保育園・病院・堺市民図書館・郵便局までの
距離を考えると車がないと本当に大変です。
計画地のマンションは駅周辺ではないのです。



計画地周辺には契約駐車場や時間貸し駐車場はほぼありません。

マンション来客の方も含め、近隣住宅街や道路での
夜間の路上駐車が発生するのではないかと懸念しています。

また、マンション駐車場出入口が現段階では
往来の多い多摩境通り側の交差点付近に1ケ所のみ。
交通渋滞や事故の危険性も高まることを住民側から
再三伝えてきたことを受けて現在検討中とのこと。

現段階の計画では、マンション駐車場へのアクセスの難しさで近隣で不自然なUターンをする車が増える可能性大と住民たちは懸念しています。


すでにMr.Maxの利用者による、16号方面からの
近隣の戸建てエリアでのUターンがよく見受けられ、
一層頻度が増すことによる子どもの安全面への影響を
危惧します。



6. 多摩境通りは、景観形成誘導地区“長大な壁面”にならないように配慮すべき通りではないの?


町田市には景観法※1に基づいて制定された
景観計画※2があり、多摩境通りは市内3か所しかない
景観形成誘導地区※3に指定されています。

簡単に言うと、多摩境通り一帯は開発行為を行う際には
周囲のまちなみに配慮した建築計画をしてほしい
地区であるということ。

















ガイドラインには、 “丘陵地への眺望の確保” “圧迫感の軽減” “長大な壁面を避ける”などの文言が形成基準の解説に並んでいるけれど、今回の計画はその基準はどのようにいかされているの?
明らかに逸脱した計画にしか見えません。













また、町田市の景観計画の中で、
「景観」に含まれている観点も掲載されています。

「安心・安全」などの観点も含めて「景観」を
考えなければいけないということ。

開発における周りの環境への配慮は、
事業者の自主性に委ねられる部分が多いけれど、
景観計画の基準を無視した長大な壁や、
災害時の避難所の問題や、風害の不安、
教育環境など影響が考えられる今回のマンション計画。

市民の安全・安心より
企業の採算を重視しすぎではありませんか?

もし、この計画が市の許可申請を通るなら、
町田市景観計画って何のためのものなのか・・・。
市の定めるところの基準との隔たりを感じています。





補足

※1
景観法(平成16年法律第110号):
我が国の都市、農山漁村等などにおける良好な景観の形成を促進するため、
景観計画の策定その他施策を総合的に講ずることにより、美しく風格のある国土の形成、潤いのある豊かな生活環境の創造及び個性的で活力ある地域社会の実現を図り、もって国民生活の向上並びに国民経済及び地域社会の健全な発展に寄与することを目的とする。

※2
「町田市景観計画」は、市の景観づくりの考え方及び景観づくりの実現化方策を示すものであり、それらは、景観法第8条に基づく部分、及び市独自の景観づくりに関する内容によって構成されています。

※3  
多摩境通りの景観形成誘導地区の特徴と景観づくりの考え方
  • 多摩境通りは丘陵地の高台に位置し、眺望が良く、商業施設や工業施設、研究施設、集合住宅、低層住宅等、様々な建築用途が混在しています。
  • また、沿道には商業施設などが建ち並ぶ、にぎわいのある景観が特徴的です。
  • 商業施設が建ち並ぶ一方、丘陵地も近接しているため、既存の建築物や工作物などのデザインと丘陵地への眺望などを一体的に捉えた上で空間や風景を形成していくことが、秩序ある景観を形成するとともに、魅力的なにぎわいの創出につながります。
    →町田市景観計画P.151~P152を参照